私は片品村蕃登さんの作る作品が好きで、初めて作品を見たときから虜になりました。Twitterでツイートしている作品の制作過程も、いろいろ悩んだり試したりしていて、非常にこだわりをもって制作されているなぁ……と思って拝見していました。
そして今年。縁あってシカクにスタッフとして入って、展示の企画にも参加させてもらえることに。「誰か展示してほしい人はいますか?」と店長に聞かれたとき、とっさに思い浮かんだのが蕃登さんでした。
遠く離れた大阪で展示なんて受けてもらえるだろうか……と思っていたけれど、大変ありがたいことに蕃登さんからOKをいただいて、あれよあれよと言う間に今月、展示となりました。
展示は、蕃登さんが「東京創研」から受け継いだ、数々の図面や資料がメインの構成になりました。東京創研は、数々の秘宝館をはじめ、遊園地などのアトラクション、サイボットの制作に携わってきた会社です。蕃登さんは東京創研と社長である川島和人さんがつくりあげてきたものを、とてもたいせつに思っておられます。そのような思いもあり、今回の展示は、秘宝館=東京創研の作品となりました。展示タイトル『秘宝館ロマン秘史』は、秘宝館や川島さんに対して彼女の感じているロマンでもあり、東京創研(川島さん)自身のロマンでもあるのかもしれません。
蕃登さんは秘宝館を訪ねる中で、熱意と愛情で関係者の方々とご縁を紡ぎ、貴重な資料を受け継ぎました。そして、秘宝館や東京創研・川島さんの素晴らしさを残していくために「形にしていく」活動をされています。
その中でもメインになるのが資料集の発行です。これまでにも秘宝館の資料集を何冊も自費出版で発行していて、今回の展示の物販でも販売しています。冒頭の彼女の文章は静かながらも、慈愛に満ちていてぜひ読んでいただきたいです。
そして展示に合わせて、今回はトークショーも開催させていただきました。蕃登さんがどうして秘宝館を好きになり、そして資料を受け継ぐことになったのか。東京創研・川島さんへの思いや、秘宝館への思いを聞いていると、「自分も何かせねば」とか「何かを形にしたい」と思わせてくれることばかりでした。そして、対象への愛情、対象に関わる人々への愛情も、たいせつにせねばと感じる貴重な時間になりました。

嬉野観光秘宝館の実際の看板から保存した「秘」
展示、資料集、トークショー、どれをみてみても蕃登さんの熱意と愛情を感じられる素晴らしいものとなりました。貪欲なまでにクリエイティブな東京創研と蕃登さんの熱意を、ぜひ感じてほしいです。
ついに会期も残り3日となりました。天候が荒れそうですが、お時間に都合のつく方はぜひいらしてください!